トラリピの損失リスクを考える。

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トラリピの損失リスク

トラリピはリピート系のFX自動売買ツールであり、一度運用方法を設定すれば、後はトラリピが自動的に運用してくれるというのが最大の特徴であり、また最大のメリットでもあります。

トラリピの運用方法の設定項目の中に、レンジ幅があります。ポジションを所有するためのトラップを何円~何円の間で仕掛けるのかということを決めます。そのレンジ幅に関しては、過去数十年間のチャートにおける最高値と最安値に設定すれば、必ずポジションが所有でき、利益も確保できます。

ただ、そんな幅広いレンジで取引をするには莫大な資金が必要であり、一般市民には不可能です。また、無駄に資金を寝かせることになり、費用対効果という点では取引するメリットがありません。

そこで、ある程度の枠内にレンジ幅を設定しますが、ただ為替相場は一定ではないため、為替相場が想定と違う動きをすることでレンジ幅から外れることがあります。そうなると、様々な損失リスクに繋がります。

レンジ幅から外れた場合に生じるトラリピの2つの損失リスク

レンジ幅には上値と下値がありますが、為替相場がレンジを外れる時はレンジから上に外れる場合と、レンジから下に外れる場合があります。その状況によって、損失リスクが以下のように変わります(買いポジションの場合)。

  1. 利益の逸失:為替相場がレンジ幅より上抜けした場合
  2. 実損の発生:為替相場がレンジ幅より下抜けした場合

1.利益の逸失

トラリピは設定したレンジ幅の中でしか売買が行われないため、レンジ幅を上抜けすると取引が行われないため、取れる利益が取れなくなります。例えば、トラリピでは110円0銭で買って110円50銭で売り、110円50銭で買って111円0銭で売るということを繰返します(トラップ幅50銭の場合)。そして、レンジ幅の上値が115円だった場合は、114円50銭で買って115円0銭で売るという取引で終わり、それより高値での取引は行われません。

ただ、レンジ幅を上抜けしたとしても、実害を受けるわけではないので、心配するほどのことではありません。つまり、レンジを上抜けする時というのは、全てのポジションが決済されて利益の取りきれた状態になっています。発生するリスクは利益の取れる機会を逸失するということです。

レンジ幅の上抜けによる利益の逸失を防ぐ方法は以下の3つになります。

  1. 為替相場がレンジ内に戻るのを待つ
    トラリピで運用しているFXは、基本的に一定の価格の間で為替が上下動するレンジ相場になっています。従って、レンジ幅を上抜けした相場がそのまま伸びていくことはほとんどなく、時期を経るとレンジ内に戻ってくるのが一般的です。

    また、上に伸びて行くことで含み損が出るわけではなく、コストがかかることも無いので、静観しているのも一つの手段です。

  2. 為替相場を追いかける
    チャートを分析した上で、為替相場が上昇していく傾向が明らかであるなら、新たに買いのポジションを注文することも考えられます。ただし、そのためには新たに資金を追加しなければなりません。同じ資金額で運用するためにはトラップ幅を広げなくてはならず、その分ポジションの成立する可能性が減り、利益を取りづらくなります。

    なお、為替が一方向に伸びて行く相場をトレンド相場と言いますが、FXではごくまれなため、FXでトレンド相場を追いかけるのは危険が伴います。例えば、トレンドを追いかけ過ぎると高値での買いポジションを持つことになります。その後、相場が反転して下落すると、高値の買いポジションがいつまでも決済できない「くそポジション」になってしまいます。

  3. 売りのトラップを仕掛ける
    上抜けした相場が元に戻ることを見越して、買いではなく、売りのトラップを仕掛ける方法があります。この場合は、上昇相場が反転して下降相場になり、レンジ幅に戻るまでの間に売りポジションが決済されて利益が取れます。ただし、コスト面に関しては、相場を追いかけて買いポジションを所有する場合と変わらず、費用が嵩みます。
  4. 決済トレール
    トラリピには「決済トレール」という機能があり、決済トレールを設定しておくと、相場が上抜けした時に設定価格では決済されず、相場が伸びきった後に成行注文で自動的に決済されます。

従って、レンジ幅の上値が115円であったとしても、相場が115円を抜けていく勢いがあると、設定価格の115円で決済されずに、相場の流れに即して決済価格が高く変更されていきます。仮に、118円で下落に転じると、118円の近辺で成行注文(売却価格を指定しない注文)によって決済されます。従って、ほぼ3円分(118円-115円)の利益を多く取れることになります。

ただし、決済トレールはメリットばかりではなく、デメリットもあります。その一つがトリガー価格であり、上昇した価格から20銭下がった時点で決済されるということです。従って、レンジ幅内においても20銭安い価格で決済されるため、通常の設定価格より安い価格で決済されてしまうということが起こり得ます。

2.実損の発生

レンジ幅を下抜けした場合は含み損という実損が発生するため、対処を迫られることになります。トラリピの運用では、長期的なチャートにおける最安値(極論としては今までの最安値)にレンジ幅の下値を設定していれば安心です。

しかし、そのためには高額な資金が必要になるため、一般的には値動きの多い範囲に絞ってレンジ幅を設定します。それによって資金効率は良くなりますが、レンジの下値まで相場が下がると含み損が拡大するだけではなく、強制ロスカットの可能性が高まります。

トラリピはレンジ相場の中で含み損を抱えながら、為替が上がるのを待って利益を得るのが目的であるため、強制ロスカットをされては全く意味が無くなります。また、強制ロスカットになると、資金を多量に消失します。

レンジ幅の下抜けによる実損の発生への対応策は以下の3つになります。

  1. 為替相場がレンジ内に戻るのを待つ
    これは対応策というよりは、傍観している状態です。ただ単に、ロスカットされるか、レートが戻るのを待つかの2択のため、結果的に相場に振り回されます。
  2. 追加入金をして維持率をアップする
    強制ロスカットは証拠金維持率が100%を割ると実施されます。その証拠金維持率は以下の式で表されます。
    ・証拠金維持率=時価残高÷証拠金必要額

    時価残高というのは、口座にある残高から評価損益を差引いた金額のことであり、証拠金必要額は所有しているポジションを維持するために必要となる金額のことです。従って、追加入金をすれば強制ロスカットを防げます。資金的な余裕があれば、この方法が一番簡単な対応策になります。

  3. 損切り(ストップロス)する
    資金的な余裕のない場合は、自ら含み損の出ているポジションを損切りして含み損を確定させることで、強制ロスカットを避けられます。損切りしたポジションは損失が出てしまいますが、全てのポジションを強制的に決済されるよりは断然ましです。なお、場当たり的に損切りしなくても良いように、事前に損切のルールを自分で決めておくことが大切です。

ちなみに、トラリピには「損切りあり」という設定ができるようになっています。損切りありの設定をしておくと、一定の損失額になった時に自動的にポジションが決済されるようになります。
ただし、損切りをすると、為替相場が元に戻ってきた場合、みすみす出さなくても良い無駄な損失を出したことになります。トラリピで利益を積み重ねる基は、損切りをしない、強制ロスカットにさせないということです。ある程度、余裕のある資金で運用することが最も重要になります。


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